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企業名: 株式会社hokan 業界: 保険 / InsurTech テーマ: 日本の保険業務の未来とDocument AI 焦点: AI活用と実務変革をつなぐ“文書構造化”の重要性 はじめに 日本の保険業界では、生成AIやデジタル化への関心が急速に高まっています。しかし実際の現場では、PDFや紙書類、レガシーシステムに依存した業務が依然として多く残っています。 単なるツール導入ではなく、 業務プロセスそのものを再設計できるかどうか 。 その鍵を握るのが、「文書データの構造化」です。 今回、株式会社 hokan 代表取締役社長 横塚 出様 に、日本の保険業界が直面している構造的課題と、Document AIの可能性についてお話を伺いました。 日本の保険業界が抱える構造的課題 日本の保険業界は長い歴史と成熟したガバナンス体制を持つ一方で、データ構造の面では大きな課題を抱えています。
hokan 代表取締役社長 横塚 出 様(左)と、Upstage Japan 代表取締役 松下 紘之 (右)。 「日本の保険業界は非常に長い歴史と大きな市場規模を持ち、商品設計や募集体制、ガバナンスの面では成熟した独自の進化を遂げてきました。規制環境の中で着実に変化を重ねてきたという意味では、堅実な進歩を続けている業界だと思います。」 「一方で、『遅れている点』としては、やはり業務プロセス全体のデータ連携や構造化の部分です。申込から契約管理、保全、保険金請求に至るまで、依然として文書中心、PDF中心の運用が多く残っています。各社ごとにフォーマットが異なり、レガシーシステムとの複雑な依存関係もある。こうした構造が、抜本的なデジタル変革を難しくしている要因だと感じています。」 申込、契約管理、保全、保険金請求――その多くが文書ベースで動いている現実があります。 なぜ「文書業務」がボトルネックになるのか 保険業界は信頼産業であり、説明責任や証跡管理が不可欠です。単なる電子化では、業務変革にはつながりません。 「保険業は典型的な規制産業であり、説明責任や証跡管理が極めて重要です。単に紙をデジタル化すればよい、という話ではありません。」 従来のOCRでは『読める』状態にはなっても、『使える』状態にするまでに多くのチューニングや個別対応が必要でした。この“最後の一歩”の難しさが、業務改革を鈍らせてきたのだと思います。 Document Parse はここを変えてくれました。」 “読める”ことと、“使える”ことは違う。 この最後の一歩が、多くのDXプロジェクトを停滞させてきました。 現場で実際に起きていること 特に負荷が大きいのは、保全手続きや保険金請求など、紙や例外処理が多い領域です。 「代理店・保険会社双方にとって負荷が大きいのは、保全手続き(住所変更・名義変更など)や保険金請求関連です。依然として紙や手書き書類が多く残っている領域です。」 「また、保険会社ごとの申込書や約款、内部資料など、フォーマットがばらばらなPDFも現場では大きな負担になっています。今回のPoCでも、各社が発行する資料の構造化に取り組みましたが、こうした“眠っている文書データ”は想像以上に多いのが実情です。今回UpstageとPoCも行った中で、その辺りを上手く吸収していただいたのが印象的でした。」 さらに、これは効率の問題にとどまりません。 「最終的に影響を受けるのは契約者様です。処理スピードの遅れは顧客体験に直結します。」 「また、コスト構造にも影響しますし、コンプライアンス面でもリスクがあります。手作業ではミスが起こりやすく、証跡管理も難しい。構造化によって、間違いを減らし、ログを残せる状態にすることが重要です。」 文書構造化は、顧客体験・コスト・ガバナンスのすべてに直結しています。 なぜAIプロジェクトは止まるのか
hokan 代表取締役社長 横塚 出 様が、Upstage Japan チームと意見交換。 PoC段階では順調に見えても、本番データに入った瞬間に止まる――その理由は明確です。 「PoC段階ではうまくいっても、実データに入った瞬間に止まるケースは多いです。その理由は、データが非構造で、品質や形式がばらばらだからです。」 「AIを活かすには、単にモデルを導入するのではなく、データをどう整え、どう流通させるかを設計する必要があります。そこを軽視すると、プロジェクトは前に進みません。」 そして、最も重要なポイントはここです。 「保険業務の入り口から出口まで、ほぼすべてが文書に紐づいています。」 「文書データは、AI活用の“土台”そのものになると思います。」 文書は“周辺業務”ではなく、保険業務の中心です。 文書が構造化されたときに起きる変化 文書が安定的に構造化できるようになると、例外処理やカスタマイズにかかる負荷が大きく減少します。 「例外処理や個別カスタマイズに割いていた工数が大幅に削減できます。メンテナンス性も向上します。また、新しい商品や制度変更にも柔軟に対応できるようになります。」 「従来は都度開発が必要だった部分が、汎用的な仕組みで対応できるようになる。これは大きな変化です。」 これは単なる効率化ではなく、 変化に強い業務基盤への転換 を意味します。
Upstage Document Parse との取り組み hokanは、実際の業務データを用いたPoCを通じて、文書構造化の現実的な可能性を検証しました。 「単なるOCRではなく、【読み取った情報をどう切り出し、どう使える形にするか】まで一気通貫で設計されている点が印象的でした。また、日本語精度が高く、フォーマットの揺れや表記の違いを吸収できている点も評価しています。プレイグラウンドのようにエンジニアが試行錯誤しやすい環境も導入の後押しになりました。」 「特に、約款や比較推奨関連の資料など、構造化することで大きな価値を生み出せる領域での活用を検討していて、Upstageには期待しています。」 「Upstageには、AIの知見や技術で変革をリードしていただくことはもちろん、業界慣習や目指すべき未来を理解した上で、一緒に新しい保険業界を作っていってほしいです。」 信頼・ガバナンス・責任あるAI 日本市場においてAIを導入する際、最も重要なのは「責任」と「説明可能性」です。 「保険業界はもともと信頼産業です。AIを導入するにしても、説明責任を果たせる設計でなければなりません。ログが残ること、判断プロセスが追跡可能であること。これが前提です。」 「最終的な責任主体は人間であること。AIの判断プロセスが記録され、検証可能であること。完全自動化ではなく、人とAIの適切な役割分担ができている状態、それが『責任あるAI』だと思います。」 さらに、変革へのアドバイスは明快です。 「完璧を目指しすぎないこと。まずは小さく始め、トライアンドエラーを重ねることが大切です。」 「そして『なぜAIを導入するのか』という目的を明確にすること。AIは手段であって目的ではありません。」
おわりに 紙は単なるアナログ資産ではありません。 そこには、業界の信頼、証跡、そして長年蓄積された知識が詰まっています。 「紙や非構造データのままでは、生成AIも十分に力を発揮できません。データアセットを整備することは、将来の競争力そのものを左右するテーマだと考えています。」 hokanとUpstageの取り組みは、日本の保険業界が次の競争力を築くための、実践的で現実的な一歩と言えるでしょう。
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Document AIが切り拓く、日本の保険業界の次なる高度化― hokanが語る「AI-Readyな文書データ」が競争力を左右する理由
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Hiroyuki Matsushita
• Industry • February 24, 2026
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